オンラインカジノで遊んでみたいけど、「日本は賭博行為を禁止している国だから違法行為に当たるんじゃないかな?」と不安に思う方も多いはずです。オンラインカジノで游ぶと違法になるのか、それとも合法なのか、正しい判断ができるように詳しく説明していきます。
法律を理解する
私たちの社会は法律でルール化をされています。なんと日本に存在する法律の数は約2000にも及ぶのです。ここでは、オンラインカジノに関係する法律を見ていくことにします。
刑法第185条
刑法第185条からみていきます。
「賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りではない。」
賭博(ギャンブル)をすると50万円以下の罰金と記されています。科料とは1000円以上、10000円未満の金銭を強制的に徴収する財産刑です。いずれにしても軽微な犯罪として取り扱われています。
また、『一時の娯楽に供する物』は食べ物や飲み物など一時的に消費されるもののことを指します。例えば、ゲームに負けた人が焼肉代を奢るなどの行為は賭博には当たらないと解釈されています。
次の第186条も賭博に関する法律です。
「常習として賭博をした者は、三年以下の懲役に処す。」
第2項
「賭博場を開帳し、又は博徒を結合して利益を図った者は、三月以上五年以下の懲役に処す。」
常習的な賭博行為、および賭博場を開いたり、人を集めて賭博を行うことに対しては相応に重い罪が科せられています。
このように日本の法律(刑法)から見ると「ギャンブル」は法律に違反することになります。
競馬法など公営ギャンブルに関する法律
賭博の禁止をされている日本ですが、それでもギャンブルが存在します。「競馬」「競艇」「競輪」「オート」などがそれにあたります。宝くじも同様にギャンブルに当たります。その他、「パチンコ」「パチスロ」などもギャンブルです。
なぜ、これらのギャンブルを行っても違法性を問われ逮捕されないのでしょうか?これもまた法律で定められています。
- 競馬…「競馬法」
- 競艇…「モーターボート競争法」
- 競輪…「自転車競技法」
- オートレース…「小型自動車競走法」
- 宝くじ…「当せん金付証票法」
それぞれ法律に定められ、競争の実施、馬券や舟券、車券などの発売が認められ、同時に賭けることも認められています。
一方、「パチンコ」「パチスロ」は「風営法」で管理されています。パチンコの景品交換ですが、法律で認められているのは景品との交換です。現金には交換できないと定められています。
法律のすき間をぬうかたちで景品を買い取るお店を近くに出店し、そのお店が景品を買い取る訳です。お店は買い取った景品を再びパチンコ屋に売るわけです。このような仕組みでパチンコ屋と景品を買い取る店の経営は登記上は別になっています。パチンコ屋は景品との交換をしているだけなので合法となります。そのあとはお客さん次第、パチンコ屋は知りませんと言った感じです。
いずれにしても日本国内で認められているギャンブルはいずれも法律で定められて行われていることが分かります。その為、法律のないギャンブルは違法となり、刑法に違反することになります。
パチンコはお金じゃなくて物と交換だから合法だって?そんなの建前だろ!違法でも役人の都合で合法に変えることができるなんて・・・国自体がすでに悪の組織になっていたのか!?
カジノに関する法律
カジノに関する法律は現在のところありません。IR法案が可決されようやく準備の段階に入ったと言えます。法律はこれから作られ、作られた法律にのとって日本のカジノは運営されることになります。
さて、このように見てきて、日本国内でのギャンブルは基本的に禁止されています。すべてがダメなのかというとそうではなく、日本の法律で認められた(法律がある)ギャンブルは日本国内でも行うことができます。
オンラインカジノプレーヤーが逮捕される
2016年オンラインカジノで遊んでいる人にショッキングな出来事が起こりました。
海外のインターネットのカジノサイトで賭博をしたとして、京都府警は10日、賭博(単純賭博)の疑いで埼玉県越谷市の制御回路製作会社経営、関根健司(65)▽大阪府吹田市の無職、西田一秋(36)▽埼玉県東松山市のグラフィックデザイナー、中島悠貴(31)-の3容疑者を逮捕した。府警によると、無店舗型のオンラインカジノの個人利用客が逮捕されるのは全国初とみられる。
逮捕容疑は2月18~26日、会員制カジノサイトに接続、カードゲームで現金計約22万円を賭けたとしている。3人は容疑を認め、「海外サイトなら大丈夫だと思った」と話している。
利用された「スマートライブカジノ」は、英国に拠点を置く登録制のオンラインカジノ。日本語版サイトが平成26年9月ごろに開設されたとみられる。クレジットカードや電子マネーを使って賭けや払い戻しができる仕組み。日本人女性がディーラーを務め、日本語でチャットをしながらブラックジャックやルーレットなどのゲームができる。
府警によると、関根容疑者は「1千万円ぐらい使った」と供述。ブラックジャックの利用客だけで月に少なくとも約1400万円の賭け金が動いていたとみられ、府警は運営実態や資金の流れを調べる。
海外のカジノサイトを利用した賭博をめぐっては、千葉県警が2月、客に賭博をさせたとして、サイトの決済代行会社役員の男ら2人を常習賭博容疑で初摘発している。
引用:https://www.sankei.com/west/news/160310/wst1603100084-n1.html
3人はいずれもカジノサイトで賭博行為をしたことを認めています。3人のうち2人は罪を認め略式起訴での罰金刑を受け入れました。賭博罪における罰金刑の上限は50万円です。その為、裁判で争うことなく罰金を支払うことで早期解決を優先したと考えられます。
残る1人の方は、「この摘発自体が法律に則っていないものであり不当である。」と主張し裁判で争うことを決定しました。
なぜ日本人プレーヤーは逮捕されたの?共通点は?
実際に逮捕された人がいるという事実は、非常に重い事実です。なぜ逮捕にまで至ったのか、その経緯を調べてみました。
スマートライブカジノが他のオンラインカジノと異なる点が一つだけあります。それはディーラーが日本人でした。その為、警察は日本人のみを対象にしたもので、日本国内での賭博行為と同等との見解を持ったようです。
そして逮捕された3人の共通点はこのスマートライブカジノで遊んでいたこと、さらにオンラインカジノのブログを運営していた点です。
こっそりと遊んでいる人よりも、ソーシャルネットワークで勝利金を自慢している人やブログを運営している人が警察のターゲットになるのね。
裁判で争った結果は?
裁判は被告であるオンラインカジノユーザーの「この摘発自体が法律に則っていないものであり不当である。」と主張に則って行われました。検察は起訴相当を主張し賭博罪に当たるとの主張です。
この裁判の結果は「不起訴」でした。
担当弁護士の話
この裁判の弁護を担当した弁護士は津田岳宏弁護士です。ご自身でブログを立ち上げ、今回の裁判についてもブログ上で意見を述べています。
私は昨年から,いわゆるオンライカジノをプレイしたとして賭博罪の容疑を受けた人の弁護を担当していたのであるが,これにつき,不起訴を勝ち取ったのである。
昨年,オンラインカジノをプレイしていたユーザー複数が賭博罪の容疑をかけられた。
彼らのほとんどは,略式起訴されることに応じて(これに応じるかどうかは各人の自由である)軽い罰金刑になることに甘んじたのであるが,そのうち1人は,刑を受けることをよしとせず,略式起訴の打診に応じず争いたいとの意向を示した。弁護を担当したのは私であった。
本件は,海外において合法的なライセンスを取得しているオンラインカジノにつき,日本国内のパソコンからアクセスしたという事案である。
この形態の案件は,従前検挙された例がなく,違法なのかどうかがはっきりしない状況になっていた。
賭博をやったのは認めるが,そのような状況で不意に検挙されたのが納得いかない,というのがその人の言い分であった。
賭博罪の不当性を強く感じている私としても,本件は是が非でも勝ちたい事件であった。
本件のポイントは,いわゆる必要的共犯の論点で語られることが多かったが,私はそれは違うと考えていた。
これのポイントは,被疑者が営利目的のない単なるユーザーであり,罪名も単純賭博罪であるという点である。
賭博罪とひと口にいうが,単純賭博罪と賭博場開張図利罪の軽重は雲泥の差である。
後者の量刑は3月以上5年以下の量刑であるが,前者の量刑は50万円以下の罰金である。
引用:https://ameblo.jp/gamblelaw/entry-12235518621.html
またこのブログで散々書いているように,今の日本は,競馬やパチンコなど,容易に合法的な賭博行為ができる環境が整っている。
つい先日には,カジノ法案も可決された。
そのような状況で,この微罪を適用して刑に処することが刑事政策的に妥当であるとは到底思えない。
単純賭博罪は撤廃すべきというのが私の主張であるし,少なくとも,この罪は今すぐにでも有名無実化させてしかるべきである。
本件の特徴は,当該賭博行為につき,海外で合法的なライセンスを得ている一方当事者である胴元を処罰することはできないところ,他方当事者であるユーザーを処罰しようとする点にある。
この点は従前,必要的共犯において一方当事者が不可罰である場合に他方当事者を処罰することができるのか,という論点に絡めて語られることが多かった。
しかし,真の問題点はここではないと私は考えていた。
賭博場開張図利罪と単純賭博罪の軽重は雲泥の差である。
賭博行為について,刑事責任のメインは開張者(胴元)が負うのであり,賭博者(客)が負う責任はある意味で付随的である。
賭博犯の捜査は胴元の検挙を目的におこなうものであり,「賭博事犯の捜査実務」にもその旨記載がある。
そこには,些細な賭け麻雀を安易に検挙すべきでない旨の記載もある。胴元のいない賭博を安直に検挙することをいさめる趣旨である。
以上を踏まえたとき,本件は,主たる地位にある一方当事者を処罰することができないにもかかわらず,これに従属する地位にある当事者を処罰することができるのか,という点が真の論点となる。
この点,大コンメンタール刑法には,正犯者が不可罰であるときに従属的な地位にある教唆者や幇助者を処罰することは実質的にみて妥当性を欠くので違法性を阻却させるべき,との記載がある。
賭博事犯において,胴元と客は教唆や幇助の関係にあるわけでないが,その刑事責任の軽重にかんがみれば,事実上従属する関係にあるといえる。
というような話は,私が検察庁に提出した意見書の一部である。
本件での主張事由は他にも色々とあり,それらを全て書くと長すぎるし,そもそも,ラーメン屋が秘伝のスープのレシピを完全公開するような真似はしない(半分冗談半分本気)。
結果が出たのは,間違いのない事実である。
本日時点において,オンラインカジノプレイヤーが対象となった賭博罪被疑事件で争った案件は国内でただひとつであり,そのひとつは,不起訴となった。
言うまでもなく,不起訴は不処罰であり,何らの前科はつかない。平たく言うと「おとがめなし」ということだ。
営利の目的なく個人の楽しみとしてする行為を対象とする単純賭博罪の不当性をうったえ続けている弁護士として,この結果を嬉しく思う。そしてちょっぴり誇りに思う。
引用:https://ameblo.jp/gamblelaw/entry-12235518621.html
カジノは処罰できないのに、カジノを利用したもののみを処罰するのは正当なのかとの主張です。同じ行為に関わっているのに他方は無罪、他方は有罪とは確かに不適切と思えます。
裁判の結果は不起訴でした。オンラインカジノプレイヤーが逮捕され裁判を行った結果はこの1例しかありません。その一例が「不起訴」であった事実も重要です。
ブログ内で津田先生も述べられていますが、この案件で胴元であるカジノは罰せられないが、ユーザーのみが罰せられるという側面、競馬やパチンコなどギャンブルを容認するかのような現在の日本において刑法185条の持つ意味はあるのかという率直な疑問を含め、あいまいな位置づけにある現在の法律に問題があります。
現状の課題点
日本は賭博を行ってはいけないと法律で定められている国なのに、公然とギャンブルが存在する側面を持っています。海外のオンラインカジノを利用したユーザーが逮捕されたにもかかわらず裁判では不起訴となりました。何故このような曖昧な状況になるのか、現状の課題点を見ていきます。
1例の判例
オンラインカジノユーザーが逮捕され、裁判で争ったのは1件しかありません。その1件で「不起訴」となったことでオンラインカジノは合法と言えるのでしょうか?
この裁判で争われたのは、「この摘発自体が法律に則っていないものであり不当である」という点です。日本国内でのオンラインカジノ利用が合法かを争った裁判ではありません。
オンラインカジノを含めた法律
これからカジノを開設できるように準備を進めている日本には、カジノの運営や営業に関する法律が存在しません。これから法律の整備を進めてカジノが設置できるようになります。なので、どのような法律ができるのかは未だ不透明です。
まとめ
「オンラインカジノで遊ぶと違法なのか合法なのか」その結論ははっきり出せないというのが正直なところです。その理由はオンラインカジノに関する法整備が未だ行われておらず、明確な答えが出せないからです。
日本は刑法第185条で賭博を禁止しています。賭博行為で認められているのは法整備がされたギャンブルのみであることは事実です。一方、オンラインカジノに関してはそれを管理する法律が未整備なため対応ができません。刑法は1907(明治40年)年4月24日に公布され、1908年(明治41年)8月1日に施行されています。
この刑法はインターネットを利用して海外のカジノでギャンブルをすることなど想定されていません。遅れての対応となりますが、これから法整備がされることになります。
現状で確かなことは、日本国内での賭博行為は違法であること、インターネットを利用して日本国内からオンラインカジノでギャンブルを行うことに対する法律はないので合法か違法なのかわかならいというのが現実です。
もしオンラインカジノで游ぶのであれば、絶対に安全ではないということを理解しながら自己責任で游ぶ必要があります。
国という組織に管理された人生は面白いか?人生はたった一回なんだから、どうするかは自分で決めろ
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