世界で一番お金を稼いだルーレットのプロ、リチャード・ジャレッキーとは?

攻略法

高速に回転するホイールの、どこにボールが落ちるかを予想するのはほぼ不可能です。なので、一般的にルーレットはランダムなゲームと考えられています。

しかし、ほんの数パーセントですが、テクニックを使ってルーレットを攻略したプレイヤーがいます。その一人がリチャード・ジャレッキー博士で、現在の金額に換算すると約800万ドル(8億円)勝ちました。

 

ジャレッキー博士は、残念ながら2018年に肺炎で亡くなりましたが、彼の偉業は今後もカジノ業界において忘れられることはありません。すごい人なのですが、なぜか日本のウェブサイトではあまり紹介されていません。

今回、ジャレッキー博士がどのようにしてルーレットでカジノを打ち負かしたのか、そのテクニックについて書いていきます。ルーレットで遊ぶカジノプレイヤーはぜひ参考にしてください。

 

リチャード・ジャレッキー博士について

ジャレッキー博士は1931年12月1日にドイツのステッテンで生まれました。両親はマックス・ジャレッキー博士と母ゲレダ・ジャレッキーで二人ともユダヤ人でした。

1930年代、ナチスによるユダヤ人の迫害を逃れるためドイツからニュー・ジャージーのオーズベリーパーク(アメリカ)に引っ越します。高校を卒業するまでリチャード少年はオーズベリーパークで過ごしました。

その後、デューク大学で学び、ヘーデルバーグ大学で医学学位を取得しています。

 

数年後、ジャレッキー博士が研修医の時、彼の将来の妻カロル・フーセと出会います。二人は1964年に結婚し、1967年にドイツに戻ります。この時期にジャレッキー博士はルーレットに夢中になります。

イタリアのサンレモ、ドイツのバーデン・バーデン、フランスのディボンヌ・レ・バンとモンテ・カルロなどヨーロッパ中のカジノを妻と一緒に旅行しました。

 

カジノで有利にプレーできないのか、理数系の頭脳を持った二人は、その方法を探します。そして、全てのルーレットがランダムな結果ではなく、そこに攻略の糸口があることを発見しました。

 


ジャレッキー博士って、攻略法を発見していなければギャンブル中毒のダメ人間じゃないのか

 

 

ジャレッキー博士が見つけたルーレット攻略の糸口とは?

リチャード・ジャレッキー博士は常にルーレットで勝つ為のノウハウとスキルを磨き続けました。そしてサン・レモのカジノでは大金を勝ち取ってカジノ側を震撼させています。

ヨーロッパの報道機関は彼の偉業を聞きつけ、その秘密を探ります。ジャレッキー博士はこの時、誰にも真似されないように、ロンドン大学からスーパーコンピュータを借りて有利な攻略法を作ったと嘘をいています。

本当はホイールの偏りを利用した、とってもシンプルなテクニックです。

 

このテクニックはルーレットのスピンを何百、何千回と観察し、どの数字もしくは範囲にボールが落ちるのか調べるというものです。

ジャレッキーは何人かのアルバイトを雇いスピンを記録していきました。多いときには一つのホイールから1万スピン分の記録をとります。しかし100時間、200時間かけて記録をとり、わかったのはあまり偏りがないということだけ。利益がだせるルーレットを見つけるまでに1ヶ月以上かかることもあります。

ただし偏りのあるホイールを探し当てたときは、そのカジノから追い出されるまで稼ぎ続けました。

 

ホイールの偏りについては、ジャレッキー博士が開発した手法ではありませんが、この手法を利用して最大限の利益をあげたという点で評価できます。

 

 

ヨーロッパのカジノを選んだ理由

ジャレッキー夫妻はヨーロピアンルーレットが多いイタリアのカジノで多くの時間を過ごしました。というのもヨーロピアンルーレットは37個の数字と0です。

カジノ側に有利な0を全数字の37で割るとハウスエッジ(胴元の取り分)は2.7%になります。

 

一方、アメリカンルーレットの場合、38個の数字と0と00です。この余分な00のポケットによってハウスエッジは5.26%にもなります。プレイヤーにとってヨーロピアンルーレットはアメリカンルーレットの倍近く有利です。

 

さらにヨーロッパのカジノは勝ち続けているプレイヤーに対してより寛大であることにジャレッキー博士は気づきました。

最終的にどのカジノ施設も勝ち続けているプレイヤーを出入り禁止にしますが、ヨーロッパのカジノ施設はちゃんと証拠をつかむまで、長く観察する傾向にあります。

一方アメリカのカジノは、十分な証拠がなくても早い段階で勝ち続けているプレイヤーを出入り禁止にします。

 

リチャードのチームは、カジノ側の寛大な対応とハウスエッジの少ないヨーロピアンルーレットのおかげで、大金を稼ぐことができました。

彼らが活動を終える1970年代前半までに128万ドルも稼いでいます。今のお金で約8億円です。

 


8億円ものお金があれば、どれだけギャンブルで賭け狂えるのかしら。リチャード博士とルーレット対決をしてみたいですわ。

 

 

カジノ側の対策

稼ぎ続けているプレイヤーに対して、カジノ側はその勝ち方に疑問を持ちます。やがてジャレッキー博士はカジノ側から注目されます。

カジノ側は彼を混乱させる為にホイールの位置を変えました。特定のホイールでの攻略方法を見つけたのだろうとカジノ側は考えたのです。

 

その予想は確かに合っていました。しかしジャレッキー博士にとって、ホイールを動かされたことは問題ではありません。というのも彼はホイールに小さな傷があることに気づきました。

なので、たとえカジノ側がホイールを移動しても、簡単にそのホイールを見つけ出せます。

 

またルーレット盤を記憶するだけでなく、ジャレッキー博士はカジノのスタッフと仲良くしていました。カジノ側から大金を巻き上げながらも、仲良くなったスタッフを利用して時間稼ぎをしていたわけです。

 

損をしたくないなら八百屋になれ

ジャレッキーはカジノサンレモで多く稼ぎました。ある時、カジノサンレモの経営者はイタリア政府にジェレキがイタリアに入国できないようにお願いしたほどです。

しかしジャレッキーはその後もサンレモのカジノに遊びに行きます。ジャレッキーは言いました

『カジノ側が負けたくなければ八百屋に転職すべきだ』

 


ジャレッキー博士に惚れました!私のお侍様になってください。

 

商品取引所で社長に

カジノサンレモは、やがて全てのホイールを入れ替える事でこの問題を解決しました。そればかりではなく、より精度のいいホイールを購入しています。

この結果、ジャレッキー博士はアメリカへ戻り、商品取引を始めます。彼はここでも才能を発揮し、やがて商品取引所の一つ、ニューヨーク商取引所の社長に任命されます。

 

ジャレッキー博士はアトランティック・シティやラスベガスのカジノをプレーし続け、有利な手法をよく使いました。ですが、ヨーロッパのカジノでプレーしていたときのように大金を稼ぐことはできていません。しかし、彼はすでに商品取引の収益に加えルーレットで8億ドルも稼いでいるので、お金をもっと稼ぎたいという願望はなかったようです。

 

 

ジャレッキー博士のルーレット攻略方法は再現できるのか?

メディアにはロンドン大学の高度なコンピュータを使って攻略法を編み出したと伝えたジャレッキー博士ですが、実際の方法は1870年代から存在するルーレットの偏りを利用したものです。

 

ホイール・バイアスを使用して最初にルーレットに勝ったとされているのはジョセフ・ジャガーというイギリスのエンジニアです。1873年にジャガーはモンテ・カルロのカジノを訪れて、現在の貨幣価値で約700万ポンド勝ったとされています。

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100年近く後、ジャレッキー博士は同じ手法を使い、大金を手にします。では、現代においてもルーレット盤の偏りを使い勝てるのでしょうか?

 

答えは勝てるかもしれないし、勝てないかもしれないです。安く製造されたルーレット盤は時間が経過するとフレット(ポケットの仕切り)へのダメージがでてきます。また軸が歪み、その結果、ボールが落ちる場所に偏りがでてきます。

ホイールを見ただけではこれらの欠陥を見抜くことはできません。スピンの記録をとってデータを解析する必要があります。どれだけ多くの記録を取るかは、数字にベットするか、またはセクションにベットするかで変わります。

 

セクションにベットする場合、たとえばホイールの7-28-35-3-26の部分で勝つことが多いとします。こういった偏りの範囲を見つける為には最低でも500スピン観察する必要があり、8~12時間かかります。

ある特定の数字にベットする場合、よくボールが落ちる数字を探し当てるためには通常5千スピン、約80~120時間かけて観察する必要があります。

 

どちらの方法を試すにしても、ホイールに偏りがあるのかないのか判断するために、データを集めパソコンで解析する必要があります。

ホイールに偏りがなければ、次のホイールで記録をとっていくしかありません。

偏りのあるホイールを見つける為に膨大な時間がかかります。ジャレッキー夫妻が人を雇って記録したのも納得できますね。

 

他にもルーレットの偏りを利用して大金を稼いだ人にゴンサロ・ガルシア・ペラーヨという人がいますが、この人も複数の家族を雇って、マドリッドやラスベガスのカジノでスピンの記録をとっています。

 


一人の力でルーレットの偏りを見つけ、稼ぐのは難しいかもしれないな。データを集めるのに時間がかかるし、人を雇ったほうが効率的だぞ。

 

現代のカジノでルーレットの偏りは利用できるのか?

カジノはホイールの偏りを防ぐために約100年ほどかかりました。さらにここ数十年、特に進化しています。

まずはスターバースト・ホイールの登場です。スターバーストのホイールはポケットが浅く、フレット部分が鉄でできているため、時間の経過による痛みが少ないです。そのためホイールの偏りを利用したルーレット攻略法が使いにくくなっています。

 

もともとイギリスのカジノ会社がルーレットで詐欺が起きているかどうか警察に捜査を依頼しました。警察の調べでは、プレイヤーがホイールの偏りを利用していたことを発表しています。これは違法ではなく合法です。

 

この発表により、1980年前半からカジノ側は、傷みが起こりにくいホイールの製造をJohn Huxleyへ依頼しました。

そしてJohn Huxleyのスターバースト製品は現在、世界中のカジノで使用されています。

 

もう一つ、勝ち続けるプレイヤーから自分たちを守るために、カジノ側はスピンの記録をしています。

当然ですが、カジノ側はスタッフに座らせてスピンの記録をとるようなことはしません。各テーブルの電子掲示板とパソコンを使って全ての勝ち数字の記録をとります。電子掲示板は多くのルーレットテーブルで見ることができます。それぞれの掲示板には最新の10から20回分の結果が表示されています。

初心者は電子掲示板に表示されている数字の傾向を見て賭けます。例えば、奇数がここ4回勝っているのを見つけると奇数に賭け始めます。

 

これらの電子掲示板は、裏にあるコンピュータとつながっていて、すべてのデータを記録しています。そのため、プレイヤーがホイールの偏りを見つける前にカジノ側が偏りのあるホイールを見つける事ができます。

 

さらに定期的にホイールの検査をしています。フレット、ポケットとホイールの軸がちゃんと機能しているかを確かめ、もし検査によって不具合が見つかれば、カジノ側はホイールの修繕または廃棄をします。

 

 

まとめ

ルーレットの偏りを利用して稼ぐ方法は、ジャガーが事務員をモンテ・カルロへ派遣しスピンを記録させたのが始まりだと言われています。ジョセフジャガーはそのデータを解析し、約6.6億円を稼ぎました。

 

ジャレッキーはコンピュータを使ってルーレットに勝った最初の人間と言われていました。しかし、これは自分の本当の勝ち手法を明かさない為の嘘です。ジャレッキーの手法はジョセフジャガーと同じルーレットの偏りを利用したものです。

 

コンピューターを使ってルーレットで大勝ちした最初の人物はビリー・ウォルターズと彼のコンピュータ・チームです。

彼らはスピンを手動で記録し、パソコンでデータを解析してホイールの偏りを見つけました。コンピュータ・チームはアトランタの全てのカジノから追放されるまでに約380万ドル稼いでいます。

 

ガルシア・ペライヨもスピンの観察とコンピュータによるデータ解析を使ったプレイヤーです。彼と彼の家族は多くのカジノから追放されるまでに約200万ユーロ稼ぎました。

 

何人かの偉大なカジノプレイヤーを紹介しましたが、ルーレットで一番多くのお金を稼いだのがリチャード・ジャレッキーです。彼が世界でもっとも偉大なルーレットプレイヤーと言えるのではないでしょうか。

 

残念ながらジャレッキーや他の伝説的なカジノプレイヤーがやってのけた偉業を再現するのは、どんどん難しくなっています。

多くのカジノはスターバースト・ホイールを使っていて、さらにそれぞれのテーブルでルーレットの結果について解析しています。また定期的にホイールの検査もしています。偏ったホイールをカジノ側より先に見つけ出すことはほぼ不可能です。

 

しかしながら、こういった手法を使ってルーレットで勝てなくなったというわけではありません。

恐らくカリブなどの小さなカジノには、まだ偏りのあるホイールを使ったルーレットがあるはずです。そんな偏りのあるルーレットを求めて、あなたもカジノ旅してみませんか?

 


穴場的なカジノを見つければ、今からでも世界に名前を残す伝説的なルーレットプレイヤーに君もなれるぞ。

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