ポーカーを始めたばかりの頃、「どうして負け続けるんだろう?」と悩んでいませんか?
実は初心者には共通する典型的なミスがあり、それを改善すれば勝率はぐっと上がります。日本国内のポーカー事情に加え、海外のフォーラムや戦略記事でも指摘されるポイントを交えつつ、初心者~中級者にありがちな10のパターンとその対策を解説します。読み進めれば「ああ、そういう理由だったのか」と腹落ちし、次からは勝負の仕方を変えてみようと思えるはずです。
つい手札を広げすぎる
初心者には「せっかく配られた手札だから勝負しないともったいない」という誤解があります。結果、強くない手でも気付けばコールやレイズしてしまいがちです。またどんなハンドでも参加して、とりあえずフロップの3枚のカードは見ておきたいというフロップみたいマンもいます。さらに「AやKがあればなんとなく強い」と勘違いし、A3oやK5oなど強くもないハンドでアーリーポジションからゲームに参加している人もいます。
フロップでペアができる確率は高くないため、むやみに多くの手をプレイすると逆にチップを失う原因になります。
プレイするハンドを絞ろう
最も簡単なのは「プレミアムハンド(AA~99、AK、AQなど)だけをしっかりプレイする」という決まりを作ることです。UTG(初期ポジション)では特に厳選し、ボタンなど後方ポジションではやや広く持つなどポジション別にハンドレンジを把握しましょう。
悩んだら降りる習慣をつけること。練習用にハンドレンジ表やアプリを参考にすると◎。初心者のうちは「しっかり降りてもOK」「全ハンド勝負しなくていい」と割り切りましょう。
プレミアムハンド例 | 評価 |
---|---|
AA, KK, QQ, AKs, AKo | 非常に強い(早いポジションでも勝負) |
JJ, TT, 99, AQs, AQo | 強い(中位ポジション以上で) |
AJs, KQs, AJ, KQなど | ミドル(後方ポジションでのみ) |
K9s以下、Q4sなど | 弱い(基本降りる) |
チキンすぎる?勝負が怖くて消極的になる
プレイが怖くてほとんど降りてしまうという初心者もいます。負けるのが不安で「確実に勝てる自信がない限り降りる」クセがつくと、テーブルに出たカードのちょっとした変化(フラッシュやストレートが完成するボードなど)にも気づかず、相手の強さを見落としてしまうこともあります。極端に狭いレンジでしか勝負せず、自分以外は全員ポーカー上級者だと思い込んでしまうのです。
これでは、強いハンドを引いても前にチップを積めないので、ポットを取るチャンスを逃し続けてしまいます。
タイトアグレッシブを意識する
ポーカーは勝率(EV)がプラスになる行動を積み重ねるゲームです。まずはタイトアグレッシブ(TAG)を意識してみましょう。強い手だけ少しずつ参加して、その中でリレイズやベットなど攻撃的なアクションを取り入れます。経験を積むことで自信がつき、「ここまでは勝負」といったイメージが持てるようになります。
最初は小額でブラフや値踏みレイズを試してみて、結果が出るようになれば徐々に恐怖心は薄れます。負けても「学び」と考え、振り返りで経験値を貯めましょう。
一度握った手を放せない?ハンドに固執しすぎる
スポーツのように「一度勝負を仕掛けたら最後まで走り抜くべきだ」と考えてしまう初心者も多いようです。しかしポーカーでは、トップペアやポケットペアができた時に嬉しさで飛びつき、無理に勝負してしまうパターンがよくあります。また、「降りてばかりでは勝てない」「臆病と思われたくない」といった思いから、フロップでペアになった程度の手でも「そろそろ当たるだろう」と無謀にコールやレイズを続けてしまいがちです。

オレもAKがでたときハイカードでもがんばってコールしすぎて大損するときがあるわ。

AKはプリフロップではプレミアムハンドで強いけど、フロップでハイカードになるとぜんぜん強くないのにね。ヒカルくん、プレミアム感をひきずってプレイするよね
ポットオッズを考える
自分の手を過信しすぎず、冷静に客観的な判断をしましょう。ポットオッズ(コールするのに必要な確率と見返り)を基準にプレイする習慣をつけるのが効果的です。たとえば、フラッシュやストレートのドローが外れた場合、投入コストに見合っていないなら素直にフォールドします。
たとえば、あなたがフラッシュドロー(同じスートのカードが4枚)を持っていて、「あと1枚出ればフラッシュが完成する!」という状況だとします。
リバー(最後のカード)を見るには、相手のベットに対して1,000点をコールしないといけません。でも、ポットには2,000点しか入っていない──つまり、当たったときにもらえるのは2,000点、外れたら1,000点を失います。
この場合、
- フラッシュが完成する確率は約19%(アウツ9枚)
- でも、勝ったときのリターン(2,000点)とリスク(1,000点)のバランスが合っていません。
このコールは見返りが小さく、長期的に見ると損になるプレイです。こういう時は、たとえ「あと1枚で…!」という惜しい場面でも、スパッと降りたほうが得です。
また、相手のアクションをよく分析し「大きなレイズは強いハンドの可能性が高い」と認識できるように訓練します。無駄に降りるのもよくありませんが、プレミアムでない手は潔く降りて損失を抑えることも戦略です
ベットサイズがちぐはぐ?賭け金は目的に合わせて
ノーリミットホールデムでは、ベットサイズを適切に調整する経験が必要です。初心者に多いのが「小さすぎるベットでコールされ放題、大きすぎるベットにフォールドされまくり」という極端なミスです。例えば、フロップで強い手を持っていながら最小ベットでケチってしまったり。逆に、相手が弱そうなのにやたら大きくベットしすぎて相手を全員降ろし、得られるはずのポットを減ってしまうこともあります。
こうしたミスは、「勝てるときにできるだけ多くのチップをもらい、負けてるときは失うチップを少なくする」というポーカーの基本から外れてしまっています。
適切なベットサイズを選ぶ感覚を磨こう
ベットサイズは「ハンドの強さ」「ポジション」「相手の傾向」を考慮して決めます。強い手ができたらしっかり大きめのベット(ポット2/3~フルポット程度)を入れ、相手からチップを引き出しましょう。一方、勝てる見込みが薄いと判断したら小額ベットやチェックでダメージを最小化します。
最低限、プリフロップのオープンレイズは3~4倍を目安にし、フロップ以降も2/3ポット以上を意識すると安定します。小さすぎるベットは次のターンでのカードを相手に安く見せてしまい、大きすぎるとフォールドされてしまうため、「適切なサイズを選ぶ感覚」を磨くことが大切です。
中途半端なハンドを過大評価しない
「なんだか強そうに見える手をプレイしてしまう」というミスもあります。初心者は、例えばスーテッドでもK2やQ4といったカードを強く見えてしまったり、A6、KJ、QTなど数字の大きなカードを過大評価してしまう傾向があります。
確かにAやKなど目立つ数字が含まれていると魅力的ですが、A6などキッカーの弱いハンドはドミネートされているとき(たとえばあなたがA6を持っていて相手がAQを持っているとき)大きくチップを失ってしまいます。
スターティングハンドを利用する
プレイするハンドの強さを常に意識しましょう。アーリーポジションでは特に、Q-T、K-J、A-9などで無理に勝負するのは避けます。レイトポジションでは、誰もレイズしていない場合に5♠6♠などのスーテッドコネクターもゲームに参加していきます。
スターティングハンド表を参照しながら、自分のレンジを見直すのも有効です。「なぜ勝てなかったのか」を理解するため、具体的に負けた例を記録しておき、同じハンドでどのように立ち回るべきか考えてみてください。

ポーカーで勝つためにはスターティングハンド表を覚えることも大切やな。キャッシュゲーム、トーナメントでもレンジは変わってくるし、自分がプレイしたい環境に合わせてハンドレンジ表を覚えてみよう。
ムキになりすぎ?感情に振り回されない
仕事で嫌なことがあった日や、予想外の大負けをした直後など、感情が不安定な状態でプレイすると判断力が狂いやすくなります。初心者は特に「イライラしているから強引に取り返そう」「焦りで次々と参加してしまう」といったパターンに陥りがちです。感情的にプレイすると、本来なら降りるべき状況でコールやレイズしてしまい、論理に反した行動を取りやすくなります。
長期的に勝つためにはメンタルコントロールが欠かせません。
まずは冷静になろう
自分が熱くなっていると感じたら、思い切って休憩を入れましょう。気持ちを落ち着けるために席を離して深呼吸したり、ルールや初心に戻る教材を読み返したりするのも効果的です。常に結果ではなく正しいアクションをできたかどうか判断する習慣をつけることも重要です。
たとえば相手の大きなベットに対して「どうせブラフだろ?コール!」と感情に流されているときは「このプレイは期待値的に正しいか?」と自問してください。負けが続いても「今日は実践練習と割り切る」「今日の負けはポーカーが上達するために必要なステップ」など、前向きな思考で対処しましょう。

オンラインポーカーで運悪く負けてしまったときは、イライラするし冷静にプレイできないから俺はすぐにテーブルを退出してるわ。
ポジションを軽視しない!席順を意識して有利に戦う
初心者ほどポジションの重要性を見落としがちです。ポーカーでは後ろの席(ディーラーボタン付近)で最後に行動できれば、そのぶん多くの情報が得られて有利に立ち回れます。逆にアーリーポジション(UTGなど)で無理に多くのハンドをプレイすると、後ろのポジションから3ベットされたときにどうしたらいいのか困ります。
有利なポジション・不利なポジションを意識しよう
常に自分のポジションを意識し、ゲームに参加するときのハンドレンジを変えましょう。具体的には、アーリーポジション(UTG)ではプレミアムハンド中心にゲームに参加していきます。
一方、ボタン近くのレイトポジションでは「広いハンドでゲームに参加する」「ブラフやスチールを試してみる」など攻めの選択肢が増えます。ポジションに応じたハンドレンジを学ぶことで、不利なOOP(アウト・オブ・ポジション)からの参加を減らし、ゲームを有利にすすめることができます。
ブラフの乱発は逆効果
「ポーカー=ブラフと思っている」「勝率が重要でとにかく勝ちたい」という初心者もいます。しかし、根拠なく何度もブラフを繰り返しても成功率は上がりません。常にブラフばかりしていると相手に読まれてしまい、弱いペアでも普通にコールされてブラフの効果がなくなります。
また、ブラフは流れ(これまでのベット履歴や状況)に合ったタイミングで行う必要があります。ランダムにブラフを打つのではなく、「今は相手のハンドレンジは弱いか?自分のベットは強そうに見えるか?」を考える計画性が必要です。
バランスを考えよう
ブラフはポーカーで勝つために大切ですが、バリューベットとブラフベットのバランスが重要です。初心者の場合、相手や自分のハンドレンジの強さ、ボードがどちらに有利なのか判断が難しいので、バリューベットを優先し、強いハンドでポットを大きく取ることを最優先に考えます。
それから「この対戦相手はよくフォールドするタイプか」といった読みを加え、ショーダウンで勝てない弱いハンドでブラフをします。ベットするときは、これはバリューベットなのかそれともブラフベットなのか意識することが大切です。
たとえば勝率はそこそこ高いけどベットするほど強くないハンド、たとえばトップペア弱キッカーで無理にリバーでブラフする必要はありません。相手の弱いハンドはフォールドして、強いハンドのみコールされます。
財布は火の車?無理な資金管理は破滅のもと
オンラインでもライブでも、ポーカーは実力だけでなく「資金をいかに守るか」が大切です。どれだけ腕に自信があっても、資金が尽きればゲームは終了です。連敗は誰にでも起こりうるため、手持ちの資金を無視したプレイは危険です。
資金管理をおろそかにするプレイヤーは遅かれ早かれ破綻します。
バンクロール管理をしよう
まず、自分のバンクロール(ポーカーに使っていい資金)を明確に決めましょう。
一般的に、キャッシュゲームなら「最低でも20バイイン分以上」の資金を用意しておくのが安全とされます。たとえば1回のバイインが$100なら、$2,000以上の資金を用意しておくイメージです。
また、セッション単位での損切りラインも決めておくと効果的です。「今日は3バイイン負けたらやめる」「勝っていても、+5バイインで区切る」といったルールを設けることで、感情に流されにくくなります。
勝っても浮かれず、引き際も意識しましょう。資金管理は、ブラフやハンドレンジと並ぶ“ポーカーの基本技術”のひとつです。
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