オンラインカジノが原因で借金が700万円に!自己破産はできるのか?

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ギャンブルで作ってしまった借金は、自己破産はできない法律にかかれています。ですが、実際はほとんどの場合で、自己破産することができます。

どうして自己破産できるのか?一般的なギャンブルだけでなくオンラインカジノの場合でも自己破産はできるのか?そして自己破産はできても免責まで得られない場合はどのような場合かを詳しく見ていきます。

 

 

借金700万円!ギャンブルで自己破産できるのか

弁護士ドットコムに次のような相談がありました。
https://www.bengo4.com/c_1/c_1036/c_1037/b_651004/

 

現在、自分名義で消費者金融3社に約100万、地方銀行約300万、ネット銀行80万借入があります。その他にも名義は妻で約200万あり、妻とは離婚する予定です。 離婚後、自分は自己破産を検討しているのですが、借金の割合が大抵ギャンブルの為最悪、免責が下りない場合について質問ですが、現在失業保険の給付を受けてる状態で個人再生も厳しい場合はどうなるのでしょうか?また直近に退職金や貯金なども全てギャンブルに使ってしまったのですが、悪質な例として裁量免責がおりにくい事案となる可能性は高いでしょうか?借金や離婚問題でパニック状態で乱文で申し訳ないですが、どなたか先生方の考えを教えて頂けると助かります。

小沢 一仁 弁護士のコメント
破産手続開始決定がされ、管財人の調査にも誠実に対応したような場合は、よほど酷い事情がない限り、裁量免責を得られるという印象です(当然、楽観視できませんが)。書かれている内容でしたら、裁量免責を得られる余地はあるように思います。

高橋 建嗣 弁護士のコメント
管財人の言うことをきちんと聞いていれば大丈夫だと思います(管財人の言うことを聞かない場合は免責は無理だと思いますが)

 

自己破産するための2ステップ

相談事案や回答に「裁量免責」という言葉が出てきます。「裁量免責」とは一体何のことでしょうか。

実は、自己破産をするためには2つの手続きがあります。1つは「破産手続き」。もう1つは「免責手続き」です。「裁量免責」とは「免責手続き」に関わる事柄です。整理をするために簡単に説明します。

 

(1) 破産手続き

借金がどうしても返せないときに裁判所にそのことを伝えます。すると裁判所は、破産の原因や借金の借りれ状況などを確認します。資料の確認のみの場合もありますが、裁判所に呼び出し聞き取り調査をすることもあります。

裁判所に自己破産しても仕方ないねと認められたら破産手続きが開始します。

 

(2).免責手続き

「免責手続き」は、裁判所が借金を返さなくていいのか、返す必要があるのか判断する手続きです。「免責」と判断されると、借金を返す必要はありません。自己破産の最大の目的は、この免責を獲得することです。

 

免責の決定が出ない場合

どのような場合に免責の決定が下りないのでしょう?これは破産法で決められています。参考のために破産法第252条第1項を引用します。

<破産法第252条第1項>
裁判所は,破産者について,次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には,免責許可の決定をする。

① 債権者を害する目的で,破産財団に属し,又は属すべき財産の隠匿,損壊,債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと

② 破産手続の開始を遅延させる目的で,著しく不利益な条件で債務を負担し,又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと

③ 特定の債権者に対する債務について,当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で,担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって,債務者の義務に属せず,又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをしたこと

④ 浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ,又は過大な債務を負担したこと

⑤ 破産手続開始の申立てがあった日の1年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間に,破産手続開始の原因となる事実があることを知りながら,当該事実がないと信じさせるため,詐術を用いて信用取引により財産を取得したこと

⑥ 業務及び財産の状況に関する帳簿,書類その他の物件を隠滅し,偽造し,又は変造したこと

⑦ 虚偽の債権者名簿(第248条第5項の規定により債権者名簿とみなされる債権者一覧表を含む。次条第一項第六号において同じ。)を提出したこと

⑧ 破産手続において裁判所が行う調査において,説明を拒み,又は虚偽の説明をしたこと

⑨ 不正の手段により,破産管財人,保全管理人,破産管財人代理又は保全管理人代理の職務を妨害したこと

 

簡単に言えば、次のようになります。

  • 財産を隠したり、意図的に壊したりして価値を減少させたりなどの不正をしたり、嘘の申告や資料を提出した場合
  • 裁判所、破産管財人の調査に協力しない場合
  • 破産管財人の職務を妨害したり、協力をしない場合
  • クレジットカードの現金化、闇金などを利用した場合
  • 浪費やギャンブルによる借金の場合
  • 過去の自己破産から7年以内の申し立ての場合

法律ではギャンブルによる自己破産を認めないと定めています。

 


ギャンブルで作った借金はちゃんと仕事をして返さないといけないのか・・・

 

裁量免責とは

ギャンブルで作った借金はチャラにできないのかと思ったあなた、実は抜け穴があります。それが「裁量免責」です。今までの行動を反省し、今後はギャンブルをしないと誓うことで、借金が免除になります。

こちらも法律で定められているので参考にしてください。

<破産法 第252条 第2項>
前項の規定にかかわらず,同項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合であっても,裁判所は,破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは,免責許可の決定をすることができる。

本来なら借金をチャラにできない場合でも、特別に見逃してもらうことを裁量免責といいます。

 

裁量免責を受けるには

裁判所から「破産手続き開始」が決定されると破産管財人が選ばれます。破産管財人は借金の内容、時期、理由、収支状況、財産の状況などを調査する人です。

この調査に基づき、最終的に裁判所が決めます。

裁量免責を受けたい場合は、破産管財人の求めに誠意をもって応じ、事実をしっかりと伝え、免責が必要であることを訴えてください。通常は弁護士と一緒に行うので、裁量免責を受けられるよう弁護士がアドバイスしてくれます。

 

 

裁量免責をもらうためのポイント

高橋 建嗣 弁護士が管財人の言うことをきちんと聞いていれば大丈夫と言っていますが、具体的には、どのようなことに注意すればいいのでしょう。

① 裁判所や破産管財人の調査、聞き取りでは事実を伝える。

② 裁判所の聞き取り調査の日や破産管財人の聞き取り等の約束の時間を守る。

③ 裁判所や破産管財人の求めに応じた資料を提出する。

④ 裁判所や破産管財人に会う時は、適切な服装で会う。

⑤ 審査官や破産管財人の質問には誠意をもって答え、言葉遣いにも注意する。

⑥ 自己破産することを反省し、再生への強い決意を持ち、それをしっかりと伝える。

これまでの自分の行為で複数の人たちに迷惑をかけ、大きな損失を与えている事実は受け止めてください。その思いが裁判所の審査官や破産管財人に伝わらないと裁量免責は得られません。

 


いい子のフリをするんだね

 

ギャンブルが原因で自己破産し借金が無くなる確率

ギャンブルが原因でも自己破産は、ほぼ100%できます。しかし免責まで含めるとその限りではありません。

ギャンブルが理由の自己破産で「借金を返す必要なし」と裁判所が判断したケースは平成23年度の司法省の統計で97.4%です。一方で「借金はチャラにしないよ」という決定は0.16%です。残りの2.3%は免責の取下げ、申請そのものの却下となっています。

 

ギャンブルが原因の自己破産でも97.4%という数字から余程のことがない限り、借金がなくなる可能性は高いです。

 

 

自己破産のメリットとデメリット

自己破産にも当然デメリットがあります。デメリットがなければ、借金のある人みんなが自己破産します。では、どんなメリットとデメリットがあるのでしょう。

 

自己破産のメリット

① 借金0
最大のメリットです。免責の決定が出れば借金は0になります。

 

② 精神的負担の軽減
自己破産の前は精神的にかなり追い込まれていたはずです。それも解消されます。督促や取り立ての電話におびえることもありません。

 

自己破産のデメリット

① 保有していた財産がなくなる

財産は全て現金化され、借金の返済に使います。家や車などの高額なものはもちろん、株などの資産をなくなります。借金もゼロになりますが、財産もゼロになると理解してください。

 

② 借り入れができない

クレジットカード会社や銀行などのローンを利用はできません。信用情報に記録されるので、消費者金融のキャッシングも利用できなくなります。5年から7年はその記録が残り、10年ぐらいは借金できません

 

③ 職業と資格が制限がされる

弁護士や司法書士、宅建取引業、金融業、警備員、建設業、風俗営業、生保などの仕事につけなくなります。また、法律で定められた後見人や代理人なども制限を受けます。

 

④ 官報に掲載される

国が発行する広報誌「官報」に氏名と住所が記載されます。広報誌に名前と住所が記載されるので、自己破産の事実が他の人に知られるかもしれません

 

⑤ 免責不許可になる場合がある

自己破産をしても免責不許可に場合があります。この場合は、借金が0にならないので何のために自己破産したかわかりません。

免責不許可にならないためにも自己破産を申請する前に弁護士に相談してください

 

自己破産のメリットは、金銭的にも精神的にも追い込められた状態から解放されることです。一方、デメリットも複数あります。職業も制限され、お金も信用も0からのスタートになるんだと理解してください。

 

 

オンラインカジノが理由で自己破産できるか?

最後に、オンラインカジノで借金をつくった場合、自己破産で借金をゼロにすることはできるのでしょうか。

結論から言えば、これまで見てきたギャンブル同様に自己破産は可能です。

 

ただ一つ問題があります。日本では賭博行為は禁止です。その禁止された賭博行為で自己破産になった場合、裁判所はどのように判断するのか?

競馬やパチンコでの自己破産とは違ってきます。「裁量免責」に明確な基準がありません。オンラインカジノが原因で破産する場合は、事前にオンラインカジノについて詳しい弁護士とよく相談することをおすすめします。

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