日本では、オンラインカジノが手軽に遊べる一方で、その法的位置付けがとても複雑です。国税庁の見解では、オンラインカジノの払い戻し金(勝ち金)は日本の所得税法で「一時所得」に該当し、確定申告が必要になります。つまり、勝ち金から掛け金を引き、さらに最高50万円の特別控除をして残った額の半分が課税対象になります。
しかし、警察の立場では、日本国内からアクセスして賭博行為を行うこと自体が「犯罪」です。このように、税務署と警察で矛盾する対応が示されており、利用者は混乱しています。税法では違法行為による収入も課税対象と明示されており、国税庁は実質的にオンラインカジノの所得を課税対象にしていますが、一方で警察は賭博罪で摘発の対象にするという矛盾が生じています。

税金を払わないと違法、払っても違法ってきついよな。俺はどうすればいいんや?

オンカジしなければいいんじゃない?
国税庁が示す「一時所得」扱いとその矛盾点
国税庁は、オンラインカジノで得たお金を「一時所得」として扱い、課税対象としています。たとえば、東京地方裁判所の判決でも、海外の賭けで得た払い戻し金は一時所得と認定され、必要な税金が追徴されています。
つまり国税庁は、払戻金から掛け金や50万円の控除を差し引いた額に税を課す計算方法を取っています。しかしこれは、日本の刑法が賭博を犯罪と規定している現実と矛盾します。
警察庁は公式サイトで「海外で合法なオンラインカジノであっても、日本から接続して金を賭ければ賭博罪に問われる」と明言しています。要するに、国税庁は一時所得として申告を促す一方、警察はその行為自体を犯罪とみなしているわけです。
税法上は「違法な活動から得た所得でも課税対象」と規定されており、このため税務署はオンラインカジノの利益に税金をかけますが、警察は利用者を逮捕するという立場にあるため、申告しても捕まりそう、黙ってても脱税…そんなジレンマに追い込まれています
違法とされているオンラインカジノへの課税と“自白”リスク
違法とされるオンラインカジノの利益を税金の対象とすると、利用者には「自白」リスクが生じます。つまり、勝ち金を確定申告することは「オンラインカジノで儲けた」と税務署に告白することになり、警察捜査のきっかけになり得ます。
実際、税理士専門サイトでも「たとえ賭博所得でも申告義務があり、自己申告が利用発覚のきっかけとなり得る」と指摘されています。逆に、意図的に申告しなければ脱税となるため、申告しない行為自体が刑事罰の対象になってしまいます。
このように、申告すれば自分から“捕まえてください”と言っているような状況で、申告しなければ脱税として罰せられるという二重のリスクにプレイヤーは追い込まれます。
警察との情報共有の可能性と実態
実務的には、オンラインカジノ関連で税務署と警察がどこまで情報共有しているか公式発表はありません。ただし金融当局や銀行は警察と連携しています。金融庁は2025年5月に警察庁と共同で、銀行協会などに対し「オンラインカジノに関わる賭博事犯防止のため、適切な対応を要請しました」
つまり銀行側にもオンラインカジノ取引を監視するよう促しているのです。また実際の事例として、GMOあおぞらネット銀行はオンラインカジノに伴う組織的犯罪捜査に協力し、神奈川県警から感謝状を受けています。
これは同社が銀行として不審な入出金を警察に報告したことを示唆しており、金融機関が警察捜査に協力している実態がうかがえます。
一方、国税庁自身が直接警察と情報を共有しているという公表はありませんが、仮に税務調査で多額の未申告収入が見つかれば、金融機関の資料照会を通じて警察へ通知される可能性は否定できません。
以上のように、金融当局や銀行を介して警察の目が及ぶ環境にあることが実態です。
日本国内の法的立場と逮捕例の現状
日本の刑法上、オンラインカジノの利用は立派な賭博行為であり、刑法185条の賭博罪に問われます。警察庁のサイトにも「国内から賭博を行えば犯罪」と明記されており、課金や無料ボーナスも含めて賭博罪の対象となります。法定刑は罰金(50万円以下)または科料で、常習行為の場合は3年以下の懲役も科されます。
実際、摘発件数は年々増加しています。警察庁によると、2022年の摘発者は59人、2023年は107人でしたが、2024年には全国で279人が摘発され過去最多となりました。摘発事例には芸能人やプロスポーツ選手なども多数含まれています。摘発された279人のうち、単に賭博行為をした客は162人、オンラインカジノ運営に関わった者(決済業者や宣伝役など)が117人でした。これだけ厳しい取り締まりが行われている現状を踏まえると、オンラインカジノ利用は低リスクとはいえません。
確定申告を巡る実情とリスク
オンラインカジノの年間利益が一定額を超えると、所得税の確定申告が必要になります。しかし、帳簿をつけて正確に損益計算するのは難しく、多くの利用者は計算を諦めているのが実情です。税理士の回答では「申告時にオンラインカジノで儲けた内容を伝えても、直ちに警察に通報されるとは限らないが、取引先やサイト情報の説明を求められる可能性がある」と指摘してます。
つまり税務署に相談したからといって即逮捕というわけではありませんが、正確な納税義務を果たすよう促されます。また、金融機関の口座に不自然な大口入金があれば、税務署が「お尋ね」を出す可能性もあります。
無申告と正直申告、どっちが危ないのか?
結論から言えば、「どちらにもリスクはあるけど、黙ってるほうが危ない」というのが現実です。
まず、オンラインカジノで勝って税金を払わないままでいると、無申告加算税や延滞税があとからガッツリ乗ってきます。運が悪いと「悪質な脱税」とみなされて、重加算税や刑事告発になるケースもゼロではありません。
一方で、「正直に申告したら警察に通報されるんじゃ…」という不安を抱える人も多いと思います。たしかに、オンラインカジノ自体が日本では違法行為とされているので、その利益を堂々と申告することに抵抗を感じるのも当然です。
でも実際のところ、税務署がすぐに警察へ通報するというケースはほとんどありません。税務署と警察はまったく別の組織で、普段は情報共有もしません。もちろん、「あまりに大金を稼いでいる」「怪しいやりとりがある」と判断されれば話は別ですが、「ちゃんと税金を払います」と自分から動いた人が即逮捕…というのは、現実にはほぼ見かけません。
つまり、無申告でバレたときのダメージのほうが圧倒的に大きい。だったら、少なくとも税務面だけでもクリアにしておいたほうが、あとあと安心です。

無申告でバレる確率なんて宝くじで大金が当たるぐらい低い確率でしょ?
「申告しなきゃバレる?バレるとしたら、どこから?」
「無申告でも、宝くじレベルの確率でバレないでしょ?」
そんな声をよく聞きますが、実際には税務署が把握するルートは、意外と現実的で身近なところにあります。
たとえば――
- 銀行口座に急に大きな入金があった
- 仮想通貨を換金して、そのお金が国内口座に入った
- マイナンバーに紐づいた口座の動きと合わない
こうした「お金の動き」がきっかけで、税務署から「お尋ね」が来ることがあります。最近は仮想通貨取引所や海外送金まわりの監視も強化されていて、“完全に足がつかないようにする”のは年々難しくなっています。
オンカジ利用者は“無敵の矛盾構造”に巻き込まれている
オンラインカジノは、日本では違法です。にもかかわらず、そこで得た利益には税金がかかる。
申告すれば「違法なことをしました」と自ら認めるような形になり、黙っていれば脱税扱いになる。
この構造、冷静に考えるとかなり理不尽です。
しかも、税務署と警察は別の組織。どちらがどう動くかはケースバイケースで、明確なルールがあるわけでもありません。
つまり、プレイヤーは「申告しても、黙っていてもリスクがある」という、いわば“詰んだ状態”に置かれているのが現実です。
もちろん、一番安全なのは「最初からオンラインカジノをやらないこと」。
でも、すでに利用してしまった人や、今まさに続けている人にとっては、「じゃあ、これからどうすればいいのか?」というのがリアルな悩みになると思います。
この“矛盾した仕組み”を知らないまま続けていれば、ある日突然、大きなトラブルに巻き込まれることもありえます。だからこそ、まずは正しい知識を持つこと。そして、自分にとって一番リスクの少ない道を、冷静に選ぶこと。それが、今できる一番現実的な対策かもしれません。
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