コンティニュエーションベットの嘘|自動CBはもう時代遅れ?

ポーカー

ポーカーを覚えたての頃、「レイズしたらフロップでコンティニュエーションベット(以下CB)するのが正解」と教わった人は多いと思います。実際、それで勝てた時期もありました。

しかし相手が強くなってくると、思ったようにポットが取れず気づけばターンで諦める展開ばかりになってしまった・・・。

そんな「CB疲れ」に悩むあなたはぜひ今回の記事を読んでみてください。

 

昔は「コンティニュエーションベット=強者の常識」だった

オンラインポーカーが広まり始めた頃は、プリフロップでレイズしたらフロップでもCBを打つのが当たり前という風潮がありました。特に2000年代半ば頃までは、プリフロップ・レイザーがフロップで100%の頻度でCBを打ち、それでポットを獲れるケースが非常に多かったです。

 

実際「チェックされたら常にCBせよ」という教えが広まり、「攻撃的なプレイヤー=常にCBする人」というイメージさえありました。相手がフィットオアフォールド気味なら、この戦略は十分に理にかなっていて、2005年頃まではそれだけで安定して勝ち続けられるほど効果的でした。

「フィットオアフォールド(fit or fold)」とは、フロップでヒット(hit)すれば続行し、そうでなければ即座にフォールドするという、非常に受け身でシンプルなプレースタイルのことを指します。

 

当時はCBを打たないという選択肢が軽視されていて、プリフロップでレイズしたならフロップでも必ずベットすべき、という考え方が主流でした。フロップでチェックするなんて、「諦めた」も同然、「弱気」や「下手」とさえ見なされることもあったのです。

そのためディフェンダー側(ポジション無しでフロップに臨む側)も「まずチェックして相手のCBを待つ」のがセオリーでした。相手はどうせCBしてくるのだから、先に打つ(いわゆるドンクベット)は「下手なプレー」とまで言われていたのです。

 

しかしこの「毎回CBするのが当たり前」という常識は、徐々に崩れていきます。時代が進みプレイヤー全体のスキルが上がるにつれ、誰も彼もが単純にCBに降りてくれるわけではなくなりました。

かつては有効だった無差別CB戦略も、現代では通用しにくくなっています。後述するようにGTOソルバーの登場で理論的にも「フロップでは常にCBする」が必勝法という考え自体が一種の嘘になりつつあるのです。

 

 

GTOも“毎回CBするべき”とは言っていない

結論から言えば、GTO戦略でも「CBは毎回打つもの」とはされていません。ソルバーの解析でも、実際には多くの場面でチェックを混ぜることが推奨されています。

そもそもポーカーは常に状況次第のゲームで、「必ずこうするべき」「決してこうしてはいけない」という絶対的ルールは存在しません。実際、プロプレイヤーのダニエル・ネグラヌも「ポーカーに“いつも”や“決して”はない」と語っており、「常に○○せよ」という戦略には必ず落とし穴があると指摘しています。

 

例えば以前は「フロップではポットの1/3をCBし続けろ」というお手軽なセオリーが流行りました。シンプルで覚えやすく、当時それで勝つことができました。

しかしソルバー(GTO+)を用いたある検証では、この固定的な1/3ポットCB戦略を見直した結果、「実際にはもっと大きなサイズを混ぜるべきだし、その代わりチェックバック(CBせずチェックする)も今まで以上に増やすべき」という示唆が得られました。

 

言い換えれば、フロップCBは「毎回打つ」ものではなく、「打つかチェックするかを選ぶもの」だということです。さらに興味深いことに、一見プラス収支になりそうなCBであっても、あえてチェックした方が結果的に高い利益(EV)を得られる場合があるとも指摘されています。

 

たとえば、自分がとても強いハンドを持っている場面でも、毎回CBしていると「またブラフだろう」と思われて、相手に軽くコールされてしまうことがあります。
そんなときにあえてチェックしておけば、「今回は弱いのかも」と油断した相手がターンでブラフしてきたり、ターンでヒットしてついてきたりして、結果的により多くのチップを引き出せることもあるのです。

 

ソルバーの最適戦略でも、強いハンドの一部はあえてフロップでチェックし、ターン以降に備えるプレーが含まれています。「常にCB」が唯一の正解でない理由がここにあります。

要するに、現代のソルバー戦略は「フロップでは必ずCBしなさい」とは教えていないのです。むしろ相手のレンジやボードテクスチャ次第では積極的にチェックを選択し、レンジに厚みを持たせることが重要になります。

 

「プリフロップでレイズしたら毎回CBをする」という時代は終わり、今や賢くCBとチェックを使い分ける時代になったと言えるでしょう。

 

 

ボードテクスチャでCB戦略は激変する

では、どんな時にCBして、どんな時にチェックすべきなのでしょうか?

最大のヒントはボードテクスチャにあります。

ボードテクスチャとは、フロップ・ターン・リバーに出る「コミュニティカードの並びや特徴」のことを指します。
特にフロップ時点の3枚のカード構成がプレーに与える影響が大きいため、多くの場合はフロップの形を見て「このボードはウェット」「このボードはドライ」などと表現されます。

 

フロップに出たカードが「高い数字ばかり(=エースやキングなど)なのか」「数字が並んでいてストレートが見えそうなのか」「同じマークが揃っていてフラッシュの可能性があるのか」──こういったボードの特徴によって、プリフロップでレイズした側が有利か不利かが大きく変わってきます。

 

プリフロップでレイズした側(いわゆるアグレッサー)は、基本的に強いハンドを多く含んだレンジを持っています。ただし、フロップにどんなカードが出るかによっては、その有利さがなくなってしまうこともあります。

中には、レイズにコールした側のほうが強力なハンド──特にナッツ級のハンドを多く含むようなボードもあるため、状況によっては立場が逆転することもあるのです。このため、ボード次第で最適なCB頻度・戦略は大きく変わります。

 

例えば、エースやキングが絡むフロップは、プリフロップでレイズした側(プリフロップレイザー)のレンジが強く、有利になりやすい場面です。特に、AK2 や AT2、KQ4 のように高いカードが2枚以上含まれるボードでは、その傾向がよりはっきり表れます。

これらはプリフロップ・レイザーが強力なワンペア以上(トップペア、セット、ツーペア)のコンボを豊富に持ち、相手(ビッグブラインド側)はそれら最強クラスの組み合わせをあまり持っていないのが特徴です。

 

そのため、レンジ全体で見てもアグレッサー(プリフロップでレイズした側)のほうが有利で、ナッツ(最強ハンド)の割合も多くなります。実際、ソルバー解析でもこういったボードでは「ほぼすべてのハンドでCBしてOK」と判断されるケースが多くなっています。

ビッグブラインド側がエースやキングなどの強いカードを持っていた場合、多くのプレイヤーはプリフロップで3ベットを選びます。そのため、BBがプリフロップでただコールした場合、そうした強力なハンドはレンジから除外されている可能性が高いです。
結果として、BB側はナッツ級のハンド(トップペアやセットなど)を含む割合が減り、レイザー側のほうがそれらを多く含む構造になります。

 

実際、A-A-3 や K-K-Q といった高ランクのペアボードや、K-Q-4 や A-J-6 のように強いカード(ブロードウェイカード)が複数含まれるボードは、プリフロップ・レイザーにとって非常に有利とされます。こうした場面では、小さなサイズでほぼすべてのハンドにCBしても問題ないと、ソルバー解析でも報告されています。

 

一方で、ストレートやフラッシュが見えやすいような「つながりのあるボード」の場合は、プリフロップ・レイザー側も慎重に対応する必要があります。例えば T98 や 765 のようなストレートの可能性があるボードでは、プリフロップ・レイザー側のレンジにそのナッツとなるストレートがほぼ無い一方、相手のレンジにはそれが存在します。

こうしたボードでは、プリフロップ・レイザー側はナッツ級のハンドをほとんど持っておらず、一方でコーラー側は、普段なら弱いとされるようなハンドでもフロップでストレートドローやペアになりやすく、戦いやすい状況になっています。

そのためソルバーも「こうしたボードではCB頻度を大幅に下げるべき」と指示しており、実際には半分以下の頻度しかベットしないのが基本戦略とされています

 

例えばこちらは「A♠ Q♦ T♣」という高いカードのボードで、UTG(アンダーザガン) vs BBのNTポーカーでの解析結果を示した図です。このボードではプリフロップ・レイザー側(UTG)はほぼすべてのハンドでベットを選択し、チェック率はわずか5.2%に過ぎません。

小さいサイズと大きいサイズを使い分けながら約95%の頻度でCBする戦略を取っており、数字の大きいカードがいかにレイザー側にとってCBしやすいかが分かります。

 

一方、こちらは「5♦︎ 6♣︎ 8♦」という低く連結したボードの解析結果です。ご覧の通りチェック(緑)が約56%と過半数を占め、ベット(紫)は約44%しか行われていません。

しかも選択するサイズも33%ポットと小さいCBに限定されています。つまりソルバーは、このようなウェットで低い数字のフロップでは「半分以上チェックし、いざベットするときは小さめサイズ」という慎重な戦略を推奨しているのです。

プリフロップ・レイザーにとって不利なボードほどCB頻度が下がり、逆に有利なボードでは頻度が上がる――まさにボードテクスチャ次第でCB戦略が激変する好例と言えるでしょう

 

以上を踏まえ、いくつかボード別の目安をまとめてみます

※本記事で紹介している戦略は、「UTG vs ビッグブラインド」のヘッズアップ(1対1)で、プリフロップに1回だけレイズが入ったシングルレイズポット、かつ6人テーブル100BBスタックのキャッシュゲームを前提としています。ポジションや参加人数、スタックサイズが変わると最適な戦略も異なるため、その点はご留意ください。

 

ほぼ毎回CBしてよいボード

高いペアボード(例:A♠A♥3♦, K♥K♣Q♠)や高カード2枚のボード(例K♠Q♥3♦, A♠J♣6♥)などレンジ優位のフロップ。小さめサイズでレンジ全体をCBしても相手に付け入る隙を与えません。

 

A♠A♥3♦のボードでUTGからのCB率は約95%です。

 

K♠Q♥3♦のボードでUTGからのCB率は約81%です。

 

 

頻繁にCBするが一部はチェックも混ぜるボード

ブロードウェイ1枚+低カードのボード(例:K♠7♥2♦のようなドライなボード はほぼ毎回CBでOKだが、Q♥6♦5♠ や K♣5♥3♣ はストレートドローやフラッシュドローを警戒して一部チェックを混ぜる)

このカテゴリではCB率は低いカード部分で相手のヒット率が上がるため、やや慎重にプレイします。

 

K♠7♥2♦のボードでUTGからのCB率は約95%です。ハイカードは1枚ですが、ドライなボードで相手もワンペアやドローができにくく、ハイカードが1枚でもKだけで十分にUTG側が有利になります。

 

Q♠6♥5♦のボードでUTGからのCB率は約61%です。

 

 

CBとチェック半々くらいのボード

ミドル〜ローカードが絡むややウェットなボード(例:9♠8♥4♠, 8♣6♣3♦ など)

ストレートやフラッシュのドローが存在し、相手が持ちうる強力なハンドが増えるためCB頻度を落とすのがソルバーの推奨です。

 

9♠8♥4♠のボードでUTGからのCB率は約54%です。

 

 

CBをかなり控えるボード

明らかに相手のほうがナッツ(最強ハンド)をたくさん持っていそうなボードです。T98, 765 のような連結ボードや、フラッシュ・ストレート完成の可能性が高いもの、中〜低のペアボード(例:554, 733)などが該当します。

プリフロップ・レイザーが持たない強コンボを相手が多数含むため、CB頻度は極めて低く(場合によっては30〜40%以下)抑えることが求められます。チェック主体で進め、必要に応じてターン以降に備えるのが賢明です。

 

T98のボードでUTGからのCB率は約38%です。

 

554のボードでUTGからのCB率は約44%です。

 

 

自動CBが招く「見え透いた」弱点とは

では、「毎回CB」を続けると実際どんな問題があるのでしょうか?

一言で言えば、戦略が見え透いてしまい、上手い相手には格好の的にされるという弱点です。フロップで毎回CBしてくるプレイヤーに対しては、相手もすぐ順応します。

 

「この人は常にCB=そこまで強いハンドばかりではない」と読まれてしまうのです。そうなると、こちらのCBに対して相手は簡単にコールしてターンで反撃(フロート)したり、思い切ってフロップでチェックレイズを多用したりしてこちらを揺さぶってきます。

ソルバー解析においても「フロップでCBしすぎるプレイヤーは常にエクスプロイトされうるターゲットになる」と警告しています。

 

具体的な弱点のひとつは、いわゆる「ワンアンドダウン」(=フロップでCBしたあと、ターンではすぐ諦めてチェックに回る)というパターンが相手に読まれてしまうことです。

毎回フロップでCBしておきながら、ターンではチェックを選ぶ場面が多くなると、相手は「ブラフを仕掛ければフォールドしてくれる」と見抜いてきます。結果として、こちらがターン以降にプレッシャーを受けやすくなり、弱点を突かれる展開になってしまいます。

 

実際CardsChatの議論でも、「フロップで常にCB→ターンでギブアップ」は非常に予測しやすく、そういうプレイヤーは簡単に攻略されてしまうと指摘しています。自動CBに頼りすぎると、自分のベットに信用がなくなり、相手に付け込まれやすくなります。

また、毎回CBする人はチェックした時にハンドが透けやすいという欠点もあります。常にCBしてくる人が突然フロップでチェックしたら、「あ、何もヒットしていないのかも」と相手に勘付かれやすいのです。

 

その結果、こちらがチェックした途端に相手はターンでブラフを仕掛けてきたり(こちらの弱みを突かれる)、あるいは逆に「トラップかも?」と警戒されて大きなポットを獲得し損ねたりします。言い換えれば、CBばかりしていると、チェックする手札がすべて弱いものばかりになってしまい、「チェック=弱い」というのが相手にバレてしまいます。

これは上級者にとって絶好の餌食で、彼らはあなたのチェックに対し容赦なくベットを重ねてプレッシャーをかけてくるでしょう。

 

もう一つ、自動CB派のプレイヤーが陥りがちなミスは「無計画なベットによる自滅」です。例えば本来チェックすべきハンドでベットしてしまい、コールされてターン以降に行き詰まるケースです。

経験の浅いプレイヤーほど「レイズした手前、とりあえずCBしなきゃ」と考えがちですが、そうして安易に打ったCBがコールされてしまうと、ターンでは打ち続けるべきか諦めるべきか迷いやすくなります。

 

結局ターンで弱気にチェックしてしまい、相手にブラフされてフォールド…という悪循環もよく見られます。このように「打つべきでない場面でのCB」は将来的な苦境を自分で招くことにもなりかねません。

総じて、自動CB戦略には「単調すぎて読まれやすい」「レンジが偏る」「将来的なプランが不安定になる」という見え透いた弱点があります。

 

実際、ソルバー時代の今では「無思考にCBを連発するのは下手なプレー」と見なされ、賢い相手ほどそれを待って反撃の準備をしています。強いプレイヤーになるほど「相手のCB頻度が高すぎる=付け入る隙」と捉え、容赦なくレイズやコールで応戦してくるのです。

したがって現代の実戦においては、CBしすぎも一種のリーク(弱点)となり得る点に注意が必要です。

 

 

実戦におけるCB頻度の「適正値」とは?

では、実際のゲームでどれくらいの頻度でCBするのが適切なのでしょうか?

一概に数字を断言することは難しいものの、ヘッズアップのポットにおけるインポジションCB(ボタン vs ビッグブラインド)の平均的なCB率は約60〜70%程度と言われています。

 

つまり、極端なボードを除けば「だいたいフロップの3回に2回くらいはCBし、残り1回はチェックする」くらいが一つの目安になるということです。

もちろん実際にはボードテクスチャやポジションによってCB頻度は上下しますが、少なくとも100%常にCBという数字が不適切なのは明らかですし、逆に極端に低すぎる(例えば2〜3割しかCBしない)もまた問題です。

 

具体的な例として、Upswing Pokerのコーチ陣が「ボタン対BBの状況で平均約70%の頻度でCBしている」と述べています。前項で見たように、エースハイなど有利なボードでは90%以上打つ一方、ミドルコネクト系では50%前後に減らすといった調整をした結果の平均値です。

 

一方、プリフロップ・レイザーがアウトオブポジション(先に行動する立場)の場合はもう少しチェック寄りになる傾向があります。例えば6maxゲームでUTGからレイズしBTNにコールされたケースなどでは、ポジション不利なぶん総じてCB頻度を控えめにするのがソルバーの推奨です。

実際、あるソルバー解析によればUTG vs BTNでフロップA♠J♥6♦のような一見有利なボードでも、UTGはほとんどのハンドでチェックしています。

 

NTポーカーの解析でも画像のようにUTGは、ほとんどCBしません。

 

以上をまとめると、「適正なCB頻度」は一概に決められないものの、おおむね50〜80%程度の範囲に収まる場面がほとんどです。極端に有利な場合はほぼ100%近く打っても良いですが、平均的には6〜7割前後、劣勢ボードでは半分以下まで落とします。

このようにメリハリのあるCB率を心がけるのが現代ポーカーの基本となります。

 

仮にご自身のプレイを振り返って「常にCBしてしまっている」「逆にヒット時しかCBせず2割くらいしか打っていない」などの偏りがあれば、少しずつ適正値に近づける調整をしてみると良いでしょう。

最後に補足ですが、適切なCB頻度を身につけるにはボードテクスチャ分類が有効です。フロップをいくつかのタイプ(ハイボード、ミドルボード、ローボード/ウェットかドライか 等)に分類し、それぞれの推奨CB戦略を覚えておくと実戦でも判断しやすくなります。

 

 

まとめ:「打たないCB」は武器になる

ここまで見てきたように、コンティニュエーションベット(CB)は「常に打てば良い」という単純なものではなく、打たない選択(チェック)も含めて戦略的に活用すべきものです。昔ながらの「とにかくCBで押し切る」といった考え方は、今では通用しにくくなっています。

 

現代の上級プレイヤーたちは、むしろ「どの場面でチェックをうまく混ぜるか」に神経を使っているのです。実際、多くのトッププレイヤーが「打たないCB(=チェックバック)こそ相手を欺く武器になる」と指摘しています。

ソルバー解析の結果もそれを裏付けており、昔は弱気に見えたチェックが、今や高度なバランス戦略の一部となっているのです。

 

例えば、こちらがフロップで非常に強いハンドを持っている場合、昔は「強いハンドはすぐにベットしてポットを大きくするべきだ」と教えられていました。

しかし現在では、あえてチェックして相手にブラフや中途半端なハンドでバリューベットを打たせた方が、より多くのチップを引き出せるケースもあります。

ドライなボードでこちらがモンスター級のハンドを持っているなら、無理にCBせず、相手が少し強い手を作るのを待った方が、結果的により多くのチップを引き出せることもあります。

 

また、トップペア・弱キッカーやミドルペアといった中くらいの強さのハンドも、毎回CBするのではなく、一部はあえてチェックに回すことで、相手にレイズされたときの苦しい判断を減らすことができます。

こうしたハンドは「強すぎず弱すぎず」で、レイズを受けたときにコールするかフォールドするかの判断がとても難しいため、無理にベットして追い込まれないよう調整するのが現代的なプレイです。

 

自分のチェックレンジに強い手を含めておくことは、防御だけでなく攻撃の起点にもなります。 さらにディレイドCB(フロップではチェックし、ターンでベットするプレー)も有効な武器です。

多くのプレイヤーは「フロップでチェック=弱い」と考えがちです。
そのため、こちらがプリフロップ・レイザーであってもフロップでチェックすると、相手は安心してターンでブラフ気味にベットしてくることがあります。

しかし逆に、相手がチェックしてきた場合には、ターンでこちらからベットすることで、意外性を持たせて相手にプレッシャーをかけることもできます。

 

ソルバーでも、フロップでチェックしておいてターンで突然ベットする「ディレイドCB」は、バランス戦略の一環として組み込まれています。特にOOP(アウト・オブ・ポジション)時には、相手のチェックに対してこちらが主導権を取り戻す手段として有効です。

 

このように「打たないCB(チェックバック)」を上手く使えると、相手に自分のハンドレンジを読ませないという大きな利点が生まれます。毎回CBする人は強弱のメリハリが無いため対応されやすいですが、適度にチェックも混ぜれば相手は常に迷いを抱えることになります。

「この人は強いからCBしたのか? それとも弱いのか? チェックしたけど本当にハズレか、それともトラップか?」と考えさせることで、相手のミスを引き出す余地が生まれるのです。言わばチェックという選択肢を持つことで、ポーカーにおける攻守のバランスが整い、より高次元の駆け引きが可能になるわけですね。

 

最後になりますが、現在のオンライン実戦を想定した場合、「自動CB」は確かに時代遅れと言ってよいでしょう。もちろん相手が極端に弱ければ毎回CBで押し切れる場面もあるかもしれません。

しかし中級者以上の相手と対峙するなら、常にCB一辺倒ではいずれ対応され、利益を取り逃がす展開が増えてしまいます。真の勝者は、CBすべき時とすべきでない時を見極め、自在に緩急をつけられるプレイヤーです。

ぜひ皆さんも「CB=正解」という思い込みにとらわれず、チェックも武器として使いこなしながらテーブルに臨んでみてください。それがポーカーにおける新たな常識となりつつあるのです。

 

 

参考文献・出典:Upswing Poker、DeepSolver、GTO Wizard などの公式ブログを参照しました。

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